記事一覧

ライター

  • 桂大介
  • 金土太一
  • ニシブマリエ
  • 小山舞子
2022.04.27

メンタル不調はなぜ言いづらいのか。こころの病気と共に働くということ

 あなたの周囲に、こころの病気と共に生きている人はいるだろうか。あるいは、あなた自身がそうだろうか。  一昔前と比べて、メンタルヘルスはだいぶ身近なイシューになった。生涯で五人に一人がこころの病気に罹患すると言われるほど、精神疾患は一般的なものである。コロナ禍による社会変容が大きなストレス要因となり、人々のメンタルヘルスに影響を及ぼしているのも既知の事実だ。  しかし、今なおメンタルの問題は語られづらい。社会にはびこる偏見、恥の意識に罪悪感、先の見通せなさなどから、当事者は口…

2022.03.31

親身になって疲弊するマネージャーたち。感情労働としてのマネジメントを考える

「最近、人の悩みを聞くのが辛いんですよね」  そう打ち明けてくれたAさんは、多数の部下を抱えるマネージャーだ。柔らかな物腰で人当たりがよく、温和な雰囲気をまとっている。 部下からの信頼も厚く、悩みもよく相談されるらしい。丁寧に聞き入っているのだろう。ヒアリングの話しぶりからも、そういうふうに想像される。 そんなAさんだが、部下の悩みを聞くことに疲労感を覚えてしまうという。 「たまにカウンセラーみたいなことやってるな、と思うんですよね。悩みを聞いても、解決できることばかりじゃな…

2022.02.21

リモートで記憶に残る仕事はできるか。快適さと孤独のはざまで

 「最近感動したことは何ですか?」「どんな出来事が印象に残っていますか?」  そう聞かれて脳裏にいくつかの出来事を思い浮かべた際、その中にコロナ以降の記憶はいくつ含まれるだろうか。  リブセンスでは、コロナを機に二〇二〇年二月から全社員がリモートワークに切り替わり、早二年が経った。そして今後は「出社が基本、リモートはオプション」だった従来の働き方から、「出社もリモートも選択可能」とするハイブリッドな働き方にシフトすることを決めた。とはいえ、コロナ収束の目途が立つまではほぼフル…

2022.02.15

誰も手をつけたがらない仕事を拾う親切心とその危うさ

 落ちているボールを拾う、という比喩がある。職場で使われるときはもっぱら、ボールという言葉は仕事を意味している。 だから、落ちているボールを拾うという比喩は、誰も手をつけていない仕事に自ら手をつける、ということを指す。ボールというくらいだから、だいたいそれは軽微な仕事に限られる。 落ちているボールを拾うことは、基本的にはいいことだとされている。ボールが落ちていては、仕事が進まない。 ちょっと資料を直したり、誰かに依頼の連絡をしたり、スケジュールを引き直すほどではない、小さな…

2021.12.27

定型発達も一つの症状? 「話題にならない」というマジョリティの特権を問う

 マイノリティを学ぶだけでなく、マジョリティについても考えたい。  そんなことを思ったのは、発達障害をテーマにした研修の準備をしているときだった。リブセンスはここ二年くらい差別やマイノリティについて学ぶ研修をやっている。「常識を考え直すワークショプ」 という。最近では十一月に株式会社MIMIGURIの協力を得て開催した。  これまでの研修では女性について、同性愛について、トランスジェンダーについて学んできたが、今回の研修ではジェンダーを離れて、発達障害を取り扱った。 発達障害は、身体の…

2021.12.24

有給はなぜ毎年増えるのか?

 みなさんは、自分が日々携わっている仕事について、その背景や文脈をどこまで理解しているだろうか。  あまり考えたことがない人から、誰よりも真剣に向き合っていると胸を張る人までさまざまだろう。どちらが良いか悪いかはいったん置いて、個人的な経験から思うことは、そこまで深く理解していなくても案外仕事は回るということだ。  これだけ言うと怒られそうな気もするが、ちょっと待ってほしい。イソップ寓話の「三人のレンガ職人」の話をご存じだろうか。簡単に紹介すると、旅人がある町でレンガ積みをし…

2021.12.15

自信は本当に必要なのか。男女のちがいから考える行動と自信の関係

 あなたには自信がありますか。  こう聞かれたら、あなたはどう答えるだろう。この質問にイエス・ノーで答えられるほど、自信というのは単純な概念ではない。けれど、持っていたほうがいいものと世間では認識されている。生活において、仕事において、自信があるほうが何かと得なことが多い。  わたしはこの秋、Q by Livesense 編集長の任務を授かった。その裏では、役割を打診されてから腹を決めるまでに三週間という時間を要していた。ありていに言えば、自信がなかったからだ。編集経験が豊富でないこと、前任…

2021.11.30

ルールが変わるとき。あっけなく崩れたナイトワーク求人の掲載禁止令

 なんとなく続けてしまっていることがある。  自分の常識に照らして普通だと思うこと、前任者から引き継いだまま疑いもしなかったこと、業界のみんながそうしていること。それで自分もなんとなく続けてしまう。そういうことはたくさんある。  べつにそれが悪いわけじゃない。というより、そういう惰性を失くしては、そもそも仕事は成立しないというべきだろう。あらゆることに猜疑心を向け、ささいなことに逐一注意を奪われていては、いつまでも重要な仕事に向かうことはできない。 わたしたちはその身のほとん…

2021.11.19

男は稼ぎ頭であたりまえ? 男性の育休取得を阻むバイアスの正体

 「65%」 これは、リブセンスにおける二〇二〇年度の男性社員の育休取得率だ。  厚生労働省が発表した「令和二年度雇用均等基本調査」(以下、厚生労働省の調査)によると、同年度の男性の育休取得率は「12・65%」だ。  二〇一九年度から5・17ポイントと過去最大の伸びを記録し、ようやく10%を超えたことがニュースなどで大きく報じられている様子を見ると、リブセンスはなかなか健闘していると感じる(ちなみに、厚生労働省の調査に比べるとリブセンスの育休取得対象者は少ないので、その分一人…

2021.11.11

人を正しく評価することはできるか。採用担当者と候補者、それぞれの苦悩

 お祈りメールほど、何の祈りも伝わってこないメッセージがあるだろうか。  「チームで慎重に検討しましたが、今回はご希望に添いかねる結果となりました。西部様の今後一層のご活躍をお祈りいたします」  わたしも就活生の頃、嫌になるほどこの類のメールを受け取った。わたしの魅力がわからない企業なんて、こっちから願い下げだ。そう強がってみても、こんなメールを受け取るたび、吸い込む息は浅くなり、心はいつもキュッとした。  今振り返ってみても、あの数カ月の就職活動は「社会から次々と拒絶された思…

2021.09.30

Q by Livesense の舞台裏

 今日はこのブログ Q by Livesense の舞台裏を明かす。べつだん隠すことはないので、赤裸々に書きたい。 大きくわけて三つのことについて。はじめに、どういう人たちが運営しているのか。執筆や編集、サイト管理の体制。二つ目は、Q byが取り扱うネタのポリシー。Q byの核となる部分だ。そして三つ目は実際のページビュー数や目標設定のこと。どれくらい読まれているのか。ぼくらがどんなKPIを追っているのか。 企業ブログが(もしくはオウンドメディアが)こういうことを明かすのはあまりないことだと…

2021.09.28

あなたの理想の働き方は?   「正社員」という言葉が問いかけるもの

「わたし、これまで何回か転職したんだけど、正社員であることにはこだわってきたのよね」  前職にいた頃、当時の上司(50代・女性)に言われたことだ。どういう話の流れだったかはもう忘れてしまったが、その言葉だけはなぜか鮮明に覚えている。  みなさんは、これまでどんな雇用形態で働いてきただろうか。わたしは社会人になって現在9年目だが、ずっと正社員として働いてきた。じゃあ正社員ではない働き方ができるか、と問われると、ちょっと躊躇してしまう、というのが率直な答えだ。  なぜか。それは養う…

2021.09.01

入社時に提出する「身元保証書」は本当に必要なのか? 江戸時代から続く日本独特の風習を問う

 あなたは身元保証書という書類を会社に提出したことがあるだろうか。そのとき誰にお願いしただろう。  この記事を書くにあたって、周囲の何人かに「身元保証書って書きましたか?」「誰に頼みました?」と聞いてみたが「うーん覚えてない……出した気はする」「たぶん親だったと思うんだけど」というくらいの回答しか返ってこなかった。ほとんどの人にとっては、入社事務のうちの一つの、取るに足らない書類みたいだ。 しかし、そうではない人もいる。今日はそんな話である。  リブセンスでは(そして他にも多く…

2021.08.10

有給生理休暇は男性にとってアンフェアか? 一七〇人の社員アンケートと考える男女平等

 有給生理休暇という制度に、あなたは賛成だろうか、それとも反対だろうか。  賛否に強い意志を持っているかもしれないし、ちょっと結論を保留したくなるかもしれない。あればめちゃくちゃ助かるという人もいれば、どちらでもいい、無関心だという人もいるだろう。 こういう場所で書くのは気が引けるけれど、正直なところ、ぼくも昔はまったくの無関心だった。直接関係のない話だし、どっちがいいかもよくわからない。そういうふうに考えていた--というのもちょっと嘘で、そんなことすら考えていなかった。無関…

2021.06.29

休暇制度をつくるときの葛藤と保存有給という魔法

 会社生活と私生活は表裏一体になっている。 人によっては、週五日・八時間を休みなく働き続けることが、私生活を圧迫してしまうこともある。そこで、仕事によって生活の質が不当に損なわれることのないよう、会社は休暇を用意する。さいきん話題のワクチン休暇もそのひとつだ。  ワクチン休暇のように全員に付与する休暇もあれば、一部の人のために用意する休暇もある。そうした休暇は、もともとあった不均衡を、おおむね平等になるようリバランスする役割をもっている。 リブセンスでいえば、有給生理休暇がそ…

2021.06.24

すっぴんは失礼?どうして化粧は女性のマナーなのか

 「すっぴんは相手に対して失礼だ」  社会人女性の大半の方は、きっとこの共通意識を持っているだろう。  何が悲しくて自分のすっぴんを失礼なものだと認識しなければならないのか、と静かに憤りを感じる。一方で、そうは言ってもこれが社会の当たり前、化粧をすることがビジネスマナーだから、と自分を納得させてきた。他人の容姿に意見することこそマナー違反だと思うのだが、「女性としてのマナー」という話になると正論としてまかり通ってしまう。  先日、「顔に泥を塗る」という漫画の1話目と作者のインタ…

2021.06.15

さあ、恋愛の話をしよう。私たちのマッチング劇場

「このまま一生ひとりなのでは」  そんな考えがたびたび脳裏をかすめた一年だった。独身・一人暮らしのわたしには、リモート生活は静かすぎる。  新規感染者数が日々報道され、イベントが次々と中止になり、医療従事者や飲食店の悲痛な声が飛び交う世の中においては、「恋愛をしたい」などという欲求はどこか軽率だった。デートをしようにも、ついには外で酒も飲めなくなった。  季節はめぐり誕生日がやってきて、わたしを表す数字がまた一つ上がったが、中身は宙ぶらりんのまま、身体という容れ物だけが老いた気…

2021.05.26

企業人事のいう「家族」は誰を含め、誰を含めないのか

 「家族」という言葉の扱いが難しくなってきた。家族とは誰を指すだろうか。企業は家族という言葉をこのまま使っていいものか。替わる言葉はあるのか。  先日リブセンスは新型コロナワクチンのサポートを発表した。詳細は割愛するが、ワクチン接種や副反応のお休みも勤務扱いにしますよ、というものだ。観測する限りでは、ヤフー社とマネーフォワード社が業界の先陣を切った。リブセンスでも早急に対応しようという話になり、わたしのところにも原案がまわってきた。以下のような文言だった。 従業員の家族がワク…

2021.05.06

マナーは守るもの? ビジネスマナー研修のあり方を探る

 近頃はマナーの評判が低い。  理由はなんとなくわかる。印鑑は傾けて押せだの、とっくりの注ぎ口は逆さにしろだの、了解という言葉は使うべきではないだの、マナーの皮を被った紛い物が横行しているからだろう。たしかに嫌気がさす。  こうしたものは「創作マナー」と揶揄され、それを教えるマナー講師は「失礼クリエイター」と呼ばれている。ありもしない「礼」をでっちあげ、これまでふつうに行われてきたことを「失礼」と貶めるからだ。  しかし批判されているのは創作マナーだけでもない。時代の移ろいにあ…

2021.04.28

障害者雇用におけるリモートワークの功罪と危険性

 「申し訳ないけど、オフィス縮小に伴ってあなたにお願いできる仕事がなくなったから、今月で契約を終了とさせていただきます」  ある日突然、上司からそのように告げられたとしたら、あなたならどう感じるだろうか。  未だ世界中で猛威を振るっているCOVID-19は、多種多様な形で世の中を変容させた。労働者の雇用の領域に関して言えば、最も大きな変化のひとつとして、リモートワークの急速な広がりが挙げられる。リモートワークによって、労働者を取り巻く環境はどのように変化したのだろうか。今回は、社会的…

記事一覧

SNSでフォローする

Copyright © Livesense Inc.

footer_logo
あたりまえを、発明しよう。
  • マッハバイト
  • 転職会議
  • 転職ドラフト
  • IESHIL(イエシル)
  • knew(ニュー)
  • batonn(バトン)

What’s Q by LIVESENSE?

格好いい正解に憧れたりもするけれど

会社は何を書くべきだろうか。企業のブログは、身も蓋もないことをいえば、宣伝のために行なわれる。わたしたちはこんなに素晴らしい。こんな面白いことをやっている。そういう発信がオウンド・メディアの名のもとに氾濫している。スマートな書きぶりと格好いい正解は確かに眩しい。でも、なんだか無理に答えを出したがっているようにも見えてしまう。

ほんとうは、もっと悩んでいるはずだ。悶えているはずだ。企業が事業成長だけを考えていればいい時代は終わり、今日ではその姿勢をこそ問われている。自由、格差、倫理、差別、生産性、疎外、幸福……。何が正しいんだっけ。正しさってなんだっけ。格好いい答えに憧れたりもするけれど、その一歩手前で考え続けていたい。

ここはそんな時代の企業のブログ。言いよどんだり、迷っていたり、結論がなかったり。ちょっと企業ブログとしてはダサいかもしれない。もっとビシッと答えを言えたほうがいいかもしれない。でもこんな時代だから、迷いや戸惑いをそのまま描くことで、一緒に悩んでいけたらとおもう。答えがないと開き直るつもりはないけれど、でも、そこに辿り着くまでの過程にだってきっと価値があるよ。

閉じる